singular points…特異点における日常の風景

 

Monday, May 07, 2007

ハンニバル・ライジング(HANNIBAL RISING)


「この世に神は存在しないという事実に、ぼくらは心の平安を見出しているんだよな、ミーシャ。だからこそおまえは、天国で奴隷にされることもないし、この先永久に神の尻にキスさせられることもないんだ。おまえが持っているものは、天国よりも素晴らしいよ。それは、祝福された忘却なんだから。ぼくは毎日おまえの姿を偲んでいる」(下巻、P97より)


「我、いかにして怪物となりしか」…1941年、リトアニア。ナチスは乾坤一擲のバルバロッサ作戦を開始し、レクター一家も居城から狩猟ロッジへと避難する。彼らは3年半生き延びたものの、優勢に転じたソ連軍とドイツ軍の戦闘に巻き込まれて両親は死亡。残された12歳のハンニバルと妹ミーシャの哀しみも癒えぬその夜、ロッジを襲ったのは飢えた対独協力者の一味だった……。ついに明かされる、稀代の怪物の生成過程!
(訳:高見浩、新潮文庫、上・下巻)

ハンニバル・ライジング(HANNIBAL RISING)』…天才的な洞察力を持つ精神科医でありながら人肉嗜好(カニバリズム)を持つ社会病質者である"怪物"ハンニバル・レクター博士を主役にした小説、トマス・ハリス(Thomas Harris)原作の「レクター・シリーズ」第4弾です。
当たり前かもしれませんが、今作も期待を裏切らない素晴らしい作品に仕上がってますねぇ(*´ε`*)ノ♪”
さすがトマス・ハリス、という感じです。(それにしても、前作から7年とは…遅筆はともかく、今作の為にかなりの取材や研究をされていたのでしょうか?)
レクターがいかにして「レクター」になったのかある程度は理解出来ますし、日本人はあまり知らない第二次世界大戦における東部戦線での悲惨さも多少は知ることが出来るのではないかと。
是非読んで頂きたい作品なので、内容に関してはこんな程度に致します。

既に公開された映画版の脚本も原作者であるトマス・ハリスが手懸けたようですが、興行成績(ランキング)はアメリカも日本ともにあまり芳しくないみたいですね。
でも、青年ハンニバルを演じる俳優「ギャスパー・ウリエル」は、なかなか趣きがあるので良いなぁ、と勝手に思っていたりしますが、僕自身はDVDにならないとたぶん観ないだろうな(´∀`;)

<参考URL>
【ハンニバル・ライジング-紹介ページ(新潮社)】
【ハンニバル・ライジング(映画)公式サイト】
【Wiki-ハンニバル・ライジング(本)】
【Wiki-ハンニバル(本)】
【Wiki-羊たちの沈黙(原題:The Silence of the Lambs、本)】
【Wiki-レッド・ドラゴン(Red Dragon、本)】
【Wiki-ハンニバル・レクター】
【Wiki-リトアニア】
【Wiki-リトアニアの歴史】
【Thomas Harris Official Website(公式サイト)】
【ハンニバル・ライジング-団塊バカ親父の散歩話】by 遊哉様
【ハンニバル・ライジング-映画の感想文日記】by asphalt様
【ハンニバル・ライジング-こんな映画は見ちゃいけない!】by otello様

<原作者プロフィール>
トマス・ハリス…テネシー州生れ。ベイラー大学卒業。「ニューズ・トリビューン」紙記者、AP通信社デスクを経て1975年、『ブラック サンデー』で作家デビュー。その後は『レッド・ドラゴン』『羊たちの沈黙』『ハンニバル』及び『ハンニバル・ライジング』という、所謂“レクター四部作”しか著していない。

<訳者プロフィール>
高見浩(タカミ・ヒロシ)…東京生れ。出版社勤務を経て翻訳家に。主な訳書に『ヘミングウェイ全短編』『日はまた昇る』『透明人間の告白』『ハンニバル』など。著書に『ヘミングウェイの源流を求めて』がある。

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Friday, May 04, 2007

アフターダーク(afterdark)

IT用語辞典:After Dark(読み方:アフターダーク)…After Darkとは、米バークレー・システムズの販売するスクリーンセーバーの名称である。 Mac OS用として実績がある一方で、Windows用も販売されている。モジュールと呼ばれるファイルを入れ替えることで、画面アニメーションの種類を増やせるなど、拡張性を持っている。

じゃなくて…村上春樹著の小説「アフターダーク(afterdark)」を読みました。

「真夜中から空が白むまでのあいだ、どこかでひっそりと深淵が口を開ける」
時計の針が深夜零時を指すほんの少し前、都会にあるファミレスで熱心に本を読んでいる女性がいた。フード付きパーカにブルージーンズという姿の彼女のもとに、ひとりの男性が近づいて声をかける。そして、同じ時刻、ある視線が、もう1人の若い女性をとらえる――。

「新しい小説世界に向かう、村上春樹の長編」とキャッチコピーにありますので、"ムラカミ新機軸"の作品と出版社は謳いたいようです。

文庫本を購入したのですが、まず最初の印象は"文字サイズが大きい"…どうやら「文字が大きく、読みやすい新レイアウト」らしいのですが、なんか"安っぽく"感じてしまったのは僕の"好み"の問題なのでしょうか?
内容に関しては、「ムラカミ的都会派小説」という感じで、暴力・若者・ファミレス・コンビニ・デリヘル・Fホテル・音楽・バーが"記号"として埋め込まれていて、"浮遊する視点"は何を表現したいのかイマイチ理解し難い面もありましたが、意外にスンナリ読めてしまう作品です。
相変わらずの「謎を残したまま(あとは読者が好きなように解釈して)」的な作品なのですが、朝が訪れたことで"前向き"な感じで終わっているので、一応「清々しいかも?癒されたかも?」という読後の印象は得られます。
でも、「夜は必ずまたやってくる」けど、こんな作品もありなんでしょうね。
ただ、登場人物のタカハシが言うセリフ『ゆっくり歩け、たくさん水を飲め』には、「風の歌を聴けのジェイ(映画版では坂田明が演じた)かよ!」と軽くツッコミを入れたくなりましたが…。

【アフターダーク-紹介ページ(講談社BOOK倶楽部)】
【Wiki-アフターダーク】
【Wiki-風の歌を聴け】
【Amazon-アフターダーク】

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Tuesday, April 17, 2007

海辺のカフカ - Kafka on the Shore -

【上巻】「君はこれから世界でいちばんタフな15歳の少年になる」…15歳の誕生日がやってきたとき、僕(田村カフカ)は家を出て遠くの知らない街に行き、小さな図書館の片隅で暮らすようになった。家を出るときに父の書斎から持ちだしたのは、現金だけじゃない。古いライター、折り畳み式のナイフ、ポケット・ライト、濃いスカイブルーのレヴォのサングラス。小さい頃の姉と僕が二人並んで写った写真…。
【下巻】「僕は失われてしまった少女に恋をし、死んでしまった少年に嫉妬する」…四国の図書館に着いたカフカ少年が出会ったのは、30年前のヒットソング、夏の海辺の少年の絵、15歳の美しい少女…。一方、猫と交流ができる老人ナカタさんも、ホシノ青年に助けられながら旅を続ける。『入り口の石』を見つけだし、世界と世界が結びあわされるはずの場所を探すために。謎のキーワードが2人を導く闇の世界に出口はあるのか?(著者:村上 春樹、新潮文庫)

「入口(表)と出口(裏)」、そして「メタファー」…2年前に文庫化された際にすぐ購入したのですが、何となく読む気がしなくて、「積読」状態になっていたので、読みたいという友達や知人に先に貸したりしていました。(因みに、ハードカバーの出版以前に刊行された「少年カフカ」は、ほとんど読まずに人にあげました)
ようやく最近になって読み始め、昨夜読み終わりました。

この小説に対する読後の感想というか印象は、「非日常(非現実)的な"モノ(世界)"からの帰還(生還)」「現実(リアル)と"リアルではないモノ"との邂逅」を強く感じたとでもいえば良いのでしょうか?
村上春樹さん独特の"寓話性"とでもいうべき断片が、「ファンタジーから、よりオカルト寄り」になったような気もしますが、それはリアルさを求めるが故なのでしょうか?
「"生"に対する執着」のようなものも感じた小説でした。
「積み重ねられた"死と喪失"の上に成り立つ"生"」…わかり難い表現ですが、僕的にはそんな作品でした。

さて、次は「アフターダーク」にいってみます。(いや、その前にやはり「ハンニバル・ライジング」にいくべきか…)

【海辺のカフカ(上巻)-紹介ページ(新潮社)】 
【海辺のカフカ(下巻)-紹介ページ(新潮社)】 
【Wiki-海辺のカフカ】 
【Wiki-村上 春樹】 
【Wiki-メタファー(metaphor)】
【Wiki-フランツ・カフカ(Franz Kafka)】

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Monday, February 19, 2007

オウエンのために祈りを(下)

オウエンのために祈りを』…オウエンは学校新聞編集長として活躍しながら、ぼくの面倒を見続けた。
泥沼の様相を呈し始めたヴェトナム戦争行きを熱望し、一方ぼくには大胆な方法で徴兵を免れさせた。
予知力を持つオウエンがひどく怯える夢の正体は?
すべては神の計画という彼の言葉は真実なのか?
そして一切不明だったぼくの父の正体は?
謎が一挙に解明される衝撃のラストシーンへと、物語はなだれ込む。


イベント続きだったので、やっと上下巻とも読み終わりました。
上下巻で1,165ページにもなる作品ですが、「もう少しボリュームがあっても大丈夫そうなしっかりした骨格を持つ小説」だと思います。

この本のテーマの一つとなっている「以前、アメリカとヴェトナム(ベトナム)がとても悲惨な戦争をしていた」ことなんて、既に「アーカイブ(過去)」に過ぎない…そんな認識が蔓延る昨今の世界情勢のように思えますが、"その当時の若者達"はこの世界をより良くできたのか…日本でいえば「団塊の世代」を中心とした"過去の若者達"ですが、社会保障制度的には『勝ち逃げ組』ともいえる彼らがこれからどんどん定年退職を迎えます。
彼らの「老後=第二の人生の過ごし方」を注視し、"社会の変革を求めた世代"が「最後の最後に世の中の何を変えてくれるのか」を"見守り"たいです。

少々話しがズレてしまいました。

巻末の解説にあるのですが、スティーヴン・キングがワシントンポストに寄せた批評には…「このように出来事が複雑に絡み合い、プロットも濃密な物語は、入れ子細工の箱を開けるように、読者に一つ一つ開いてもらうにしくはない。…読者は最後に、豊かに織り上げられ、入念に作り上げられたニューハンプシャー州グレイヴスエンドの世界を去り難い思いに駆られるだろうし、永遠の叫び声を持つオウエン・ミーニーを決して忘れはしないだろう」…さすがスティーヴン・キング!確かにそんな風に素敵な作品です。

【オウエンのために祈りを(下巻)-紹介ページ(新潮社)】

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Sunday, January 21, 2007

オウエンのために祈りを - A Prayer for Owen Meany

オウエンのために祈りを』…5歳児ぐらいの身長、一度聞いたら忘れられないへんな声、ずば抜けた頭脳を持つぼくの親友オウエン・ミーニーを、ある日過酷な運命が襲った。ピンチヒッターで打ったボールが、大好きだったぼくの母の命を奪ったのだ。ぼくは神様の道具なんだと言い続ける彼にとって、出来事にはすべて意味がある。他人と少し違う姿に生れたオウエンに与えられた使命とは? 
米文学巨匠ジョン・アーヴィング(John Irving)による現代の福音書。
(訳:中野圭二、上下2巻、新潮文庫)

久しぶりのアーヴィングの作品です。
今週末から読み始めました。
読了してからUPしようと思っていたのですが、"備忘録"的に気になったフレーズを書き留めておきます。

「記憶というものはおそろしいものだ。こっちは忘れても、記憶のほうで忘れてくれない。記憶はいろいろなことをきちんと整理して保管しておくのだ。保存してくれる、あるいは隠しておいてくれる…そしてむこうの意志でそれらを呼び出し記憶を甦らせる。われわれは記憶を持っているつもりでいるが、記憶がこちらを持っているのだ!」

【オウエンのために祈りを-紹介ページ(新潮社)】
【サイモン・バーチ-allcinema ONLINE】
【サイモン・バーチ-goo映画】
※映画『サイモン・バーチ』は、「オウエンのために祈りを」が原作
【Wiki-ジョン・アーヴィング】
【サイダーハウス・ルール 公式サイト】

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Thursday, January 18, 2007

中国五千年

上巻…歴史の要点は、政権(王朝)の興亡にある。どのような人物が王朝をたて、どう政治をしたか。有徳と暴虐の交替、文化の差が政権を変える有様を、明快平易に語る史書。三皇五帝の神話時代から、祭政一致の神意国家、地方分権の封建制社会、秦の始皇帝による天下統一。再びの動乱、隋による再統一まで。
下巻…中国の王朝興亡に見られるパターン、多くの政権は、その内部の実力者に乗っ取られて交替する。世界帝国唐、短命王朝の続く五代十国、新時代を画した宋、征服王朝元、中華帝国の復活明、満州族の王朝清から中華民国を経て、中華人民共和国が成立するまで。歴史とは何かを、公正な史眼で語る名著。(著者:陳舜臣、全2冊)

淡々とした語り口で、歴史モノにしてはとても読みやすかったです。
「中国」という国家の成り立ちが、この本で概要は掴めるのではないでしょうか。
『歴史の要点は、政権(王朝)の興亡にある』という言葉は、「なるほど」という感じでした。

僕は、陳舜臣さんの作品をまだ2冊しか読んでいないので、時間を作りポツポツ読んでいこうと思っておりますが、腰を据えてじっくり読みたい本ばかりなので困ってしまいます。

【中国五千年-講談社BOOK倶楽部】
【陳舜臣中国ライブラリー(集英社)】
【Wiki-陳舜臣】

≪他人の痛みを知る-陳舜臣≫
今度の地震でこの種の不祥事がほとんど起こらなかったことは、私たちの国際感覚が成熟していることを物語っている。
これは半世紀以上も前に、日本が敗戦を経験し、国土を焦土とされた悲惨な歴史と無縁ではないという気がする。
他人の痛みが分かる人が多くなったのだろう。
爆弾や焼夷弾に追われ、家を焼かれ逃げまどった記憶があり、その惨状と重ね合わせて、目の前の罹災を見ることができたのではないだろうか。
(中略)
(中国人犠牲者の遺族が、太湖のほとりの無錫市郊外に犠牲者48人を追悼する碑を立てた)
「日本阪神淡路大震災中国遇難同胞記念碑」と刻まれた、高さ3メートルの大きなもので、裏面には48人の姓名、年齢、性別、出身地が刻まれている。
碑は屋根の付いた建物で覆われ、その柱には若くしてたおれた彼らへの挽詩がしるされている。
『宏願未遂東海地裂毀荘志』
-大いなる望みは遂げられず、東海に地裂けて、荘志を毀つ-

 
※毀つ(こぼつ):壊した、破った
※阪神大震災に対し陳舜臣さんが2年前の日経朝刊に寄せられたものです。
※文章の一部しか入手できず、読みづらくしてしまい申し訳ありません。

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