singular points…特異点における日常の風景

 

Monday, February 19, 2007

オウエンのために祈りを(下)

オウエンのために祈りを』…オウエンは学校新聞編集長として活躍しながら、ぼくの面倒を見続けた。
泥沼の様相を呈し始めたヴェトナム戦争行きを熱望し、一方ぼくには大胆な方法で徴兵を免れさせた。
予知力を持つオウエンがひどく怯える夢の正体は?
すべては神の計画という彼の言葉は真実なのか?
そして一切不明だったぼくの父の正体は?
謎が一挙に解明される衝撃のラストシーンへと、物語はなだれ込む。


イベント続きだったので、やっと上下巻とも読み終わりました。
上下巻で1,165ページにもなる作品ですが、「もう少しボリュームがあっても大丈夫そうなしっかりした骨格を持つ小説」だと思います。

この本のテーマの一つとなっている「以前、アメリカとヴェトナム(ベトナム)がとても悲惨な戦争をしていた」ことなんて、既に「アーカイブ(過去)」に過ぎない…そんな認識が蔓延る昨今の世界情勢のように思えますが、"その当時の若者達"はこの世界をより良くできたのか…日本でいえば「団塊の世代」を中心とした"過去の若者達"ですが、社会保障制度的には『勝ち逃げ組』ともいえる彼らがこれからどんどん定年退職を迎えます。
彼らの「老後=第二の人生の過ごし方」を注視し、"社会の変革を求めた世代"が「最後の最後に世の中の何を変えてくれるのか」を"見守り"たいです。

少々話しがズレてしまいました。

巻末の解説にあるのですが、スティーヴン・キングがワシントンポストに寄せた批評には…「このように出来事が複雑に絡み合い、プロットも濃密な物語は、入れ子細工の箱を開けるように、読者に一つ一つ開いてもらうにしくはない。…読者は最後に、豊かに織り上げられ、入念に作り上げられたニューハンプシャー州グレイヴスエンドの世界を去り難い思いに駆られるだろうし、永遠の叫び声を持つオウエン・ミーニーを決して忘れはしないだろう」…さすがスティーヴン・キング!確かにそんな風に素敵な作品です。

【オウエンのために祈りを(下巻)-紹介ページ(新潮社)】

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