singular points…特異点における日常の風景

 

Tuesday, April 17, 2007

海辺のカフカ - Kafka on the Shore -

【上巻】「君はこれから世界でいちばんタフな15歳の少年になる」…15歳の誕生日がやってきたとき、僕(田村カフカ)は家を出て遠くの知らない街に行き、小さな図書館の片隅で暮らすようになった。家を出るときに父の書斎から持ちだしたのは、現金だけじゃない。古いライター、折り畳み式のナイフ、ポケット・ライト、濃いスカイブルーのレヴォのサングラス。小さい頃の姉と僕が二人並んで写った写真…。
【下巻】「僕は失われてしまった少女に恋をし、死んでしまった少年に嫉妬する」…四国の図書館に着いたカフカ少年が出会ったのは、30年前のヒットソング、夏の海辺の少年の絵、15歳の美しい少女…。一方、猫と交流ができる老人ナカタさんも、ホシノ青年に助けられながら旅を続ける。『入り口の石』を見つけだし、世界と世界が結びあわされるはずの場所を探すために。謎のキーワードが2人を導く闇の世界に出口はあるのか?(著者:村上 春樹、新潮文庫)

「入口(表)と出口(裏)」、そして「メタファー」…2年前に文庫化された際にすぐ購入したのですが、何となく読む気がしなくて、「積読」状態になっていたので、読みたいという友達や知人に先に貸したりしていました。(因みに、ハードカバーの出版以前に刊行された「少年カフカ」は、ほとんど読まずに人にあげました)
ようやく最近になって読み始め、昨夜読み終わりました。

この小説に対する読後の感想というか印象は、「非日常(非現実)的な"モノ(世界)"からの帰還(生還)」「現実(リアル)と"リアルではないモノ"との邂逅」を強く感じたとでもいえば良いのでしょうか?
村上春樹さん独特の"寓話性"とでもいうべき断片が、「ファンタジーから、よりオカルト寄り」になったような気もしますが、それはリアルさを求めるが故なのでしょうか?
「"生"に対する執着」のようなものも感じた小説でした。
「積み重ねられた"死と喪失"の上に成り立つ"生"」…わかり難い表現ですが、僕的にはそんな作品でした。

さて、次は「アフターダーク」にいってみます。(いや、その前にやはり「ハンニバル・ライジング」にいくべきか…)

【海辺のカフカ(上巻)-紹介ページ(新潮社)】 
【海辺のカフカ(下巻)-紹介ページ(新潮社)】 
【Wiki-海辺のカフカ】 
【Wiki-村上 春樹】 
【Wiki-メタファー(metaphor)】
【Wiki-フランツ・カフカ(Franz Kafka)】

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2 Comments:

  • はじめまして。

    海辺のカフカ。私は予約購読したクチです。
    熱烈なる春樹ファン、というわけでもないのですが、春樹ワールドにはしびれていたりしてる一人です。
    あ。それにしては、この本、一体どこにいってしまったのかしらん。
    なつかしい作品を紹介してくださってありがとうございます。
    本棚をあさってみます。。。読み返してみたくなったからです。

    By Anonymous Anonymous, at 4/25/2007 11:48:00 pm  

  • みやっちさん、はじめまして。
    コメントありがとうございます。
    KEIKOさんのサイトから飛んで来て頂いたのですね。
    嬉しいです!

    村上春樹さんの初期の作品は、若い頃の僕にかなりの影響を与えてくれたのですが、あまり読む気にならなかったのは、社会人になる過程で「村上さんを喪失」しなければ現実社会とうまく折り合いが付かなかったからかもしれません。
    年を取って、やっと落ち着いてきたから"読める"ようになったのかもしれませんね。

    By Anonymous Anonymous, at 4/26/2007 01:18:00 am  

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