「江戸の歴史は大正時代にねじ曲げられた」~サムライと庶民365日の真実
時代劇で見る江戸の町は嘘ばっかり!
武士も町人も不倫三昧!斬捨御免も金で解決!
鬼平はワーキングプア、派遣社員が町に溢れ、大奥の年間維持費600億円が江戸の現実!
(著者:古川 愛哲、講談社+α新書)
<内容>
時代小説や時代劇、チャンバラ映画といっても、伝統的な江戸の生活を活写しているわけではありません。悪代官や悪家老に虐げられた者を救うため、素浪人が侍や町奉行の捕り方に囲まれながら、彼らをバッタバッタと切り倒す―。時代劇の溜飲の下がるカタルシスは、江戸時代にもありそうで、いや、あって欲しいと思うのですが、ほとんど西洋の活劇の流用から発展して今日に至ったものばかりです。それゆえ現実の江戸時代の姿からは、ほど遠いといわざるを得ません。それでは、なぜ、江戸を知っている人たちによって、時代劇や時代小説は作られなかったのでしょうか。
●時代劇とは違う江戸の町景色
●男たちが浮世絵好きだった理由
●「生類憐み令」は悪法か?
●斬捨御免で復讐された馬鹿殿
●時代劇の切腹は不作法?
●幼君への驚愕の性教育
●農民は本当に虐げられていたか?
●誰が関東平野を開拓したのか?
●新時代到来で地方と中央に格差
●幕末の慰安婦外交とハーフの運命
えーと、最近流行り(?)の“江戸本”ですが、この本もなかなか面白い新書でした。
ただし、タイトルは「江戸の歴史は大正時代のチャンバラ映画が西部劇やヨーロッパの活動写真の影響を受け、江戸時代を舞台にした時代小説だってヨーロッパの小説を反映したものだったんだから、そんときにねじ曲げられたんだよねぇ。だから、本当の江戸の実像に迫ってみようじゃありませんか!」の方がより正確だと思います(笑)
歴史はその時代時代の権力者の都合の良いように“改竄(ざん)・偽装・正当化”されるものなので、倒幕をした明治の新政府が徳川治世を否定的なものにねじ曲げてしまうのは当然だと思いますし、TVの時代劇そのままが本当の江戸時代なわけはないとは誰でも分りますし、TV時代劇やNHK大河ドラマの同じような作品でも時代の世相を映して制作されるので微妙に異なりますし、登場する人物の扱いだってかなり変わります。
「“江戸時代は封建制度の厳しい自由の無い暗黒時代だった”のだから、それに比べれば今の新政府がやっている施策は四民平等・旧弊打破・文明開化の名の下に多くの権利と自由を得た臣民(国民)にとって良いものに決まっているじゃないか!」という政府のプロパガンダは国策上必要だったんでしょうし、逆に「明治・大正時代は良かった」「戦前は良かった」「高度成長期は良かった」「バブル時代は良かった」という“昔は良かった”デマゴーグも使われますし、『歴史の真実』なんて本当のところは実際にその時代に自分が存在していなければ分らないし、存在してたって地位や階級によって捉え方が異なるのですから、マジで難しいですよねぇ。
この本でも語られていますが、江戸時代のトンデモ(悪)法として有名な「生類憐みの令」にしても、最近では戦国時代の人殺しも平気な殺伐とした世の中から平和で安定的な世の中に変えた効果のあった“マトモな法律”であったと評価されてきています。
実際に法律が適用された範囲は江戸市中+天領(幕府領)だけでしたし、処罰されたのは22年間でたった69件(内訳は46件が武士・足軽・中間、町民・農民・寺は23件で、1年間に平均たった3件)しかなく、人に対する野犬の被害も多かった江戸の町から捨て犬・野良犬を巨大な犬小屋に収容することで女性や子供でも安心して歩ける町にした面もありました。
実際、教科書を読んだだけでは、分らないこと・知らないことってホント多いですよね。
“教科書には載っていない歴史”を学ぶことはバランス感覚を磨く上で重要なことだと思いますし、(既に遅いような気もするけど)自分自身のマトモな価値観といえるものを育むためには、もっと色々な歴史本を読まないとダメダメだなぁ、と最近つくづく感じております。
Labels: 江戸、江戸時代、新書、本、江戸本
4 Comments:
SACたん、こんにちは♪
さすがSACさん、いろんなことに精通されているので感心してしまいます。
なぜか?私も最近歴史にすごく興味を持ち出して、図書館から本やビデオを借りたり、スカパーで歴史チャンネル見たりとハマっています。
と言うより私の場合は教科書に載っていたことすら忘れていたので、これではマズイと思い、常識的なことを勉強しているだけですが^^;
いつの時代も戦いをしてきた日本ですが、やっぱり今が一番平和なのかな。
By Anonymous, at 9/02/2008 09:02:00 am
KEIKOさん、こんばんは。
歴史を純粋に学ぶことは楽しいですし、「歴史と真実は違う!」的なことを調べるのも楽しいですよね。
ま、そんな平和なことをしていられるのも、日本が平和だからですよねぇ。
それに、韓国みたいに徴兵制度があったら、タイミング的には就役終えたら就職氷河期で、キャリアを積めず、今頃「ワーキングプア」な僕になっていたでしょうしね。
最近は“この手”の本もかなり購読していて、だいぶ“世の中の構造”が正確に把握できて参りました。
その話題もそのうちにアップします。
明日は飯田市川路(正確には嶋ですが)の「奉天」というラーメン屋に行って参りますので、そのレポを近いうちに。
By Anonymous, at 9/05/2008 01:26:00 am
SACたん、こんにちは♪
SACたんのブログが更新されてないので、どうされたのか心配してましたが、先日は私のブログでSACたんの元気そうなお声が聞けたので安心しましたが、大丈夫ですよね?
SACたんが、林檎屋本舗のどら焼きを一押しされたので、早速行って来ましたよ~。松川までは遠いので、南箕輪のあじ~なまで。
かなり人気のようで、林檎屋本舗の場所が大きく取られていました。
バタドラと思って食べると物足りないかもしれないですが(だからあっさりしてるんですよね)林檎のサクサク感がなんとも言えませんでした♪ 初めて味わうどら焼きの味ですよね。美味しかったです。あっという間になくなりました。SACたん、☆⌒(*^∇゜)v ありがとう!
By Anonymous, at 10/20/2008 11:13:00 am
大丈夫なんですけど、何かとイベントばかりで気持ちに余裕がぁ(≧ω≦)
KEIKOさんのブログにこれから「存在(生きてる)証明」をして参りますね(^_^;)
By Anonymous, at 11/02/2008 07:01:00 pm
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