singular points…特異点における日常の風景

 

Sunday, August 31, 2008

無実(The Innocent Man by JOHN GRISHAM)

リーガル・サスペンスの巨匠ジョン・グリシャムが、全米を震撼させた冤罪事件に挑んだ初のノンフィクション作品。
ニューヨーク・タイムズ、NO.1ベストセラー! 1982年、オクラホマの小さな町で起きたレイプ殺人事件と不公正な捜査の全容を描く渾身のノンフィクション!

1982年12月8日、オクラホマの小さな町で21歳のウェイトレスが何者かに強姦され殺された。
警察の捜査は行き詰ったかに見えたが、事件から5年後、地元に住む元野球選手とその友人が唐突に逮捕された。物的証拠は皆無、全米を震撼させた冤罪事件のはじまりだった……。


『無実(The Innocent Man、2006年)』は、「評決のとき(A Time to Kill、1989年)」「ザ・ファーム/法律事務所(The Firm、1991年)」「ペリカン文書(The Pelican Brief、1992年)」「依頼人(The Client、1993年)」などの小説・映画で有名なアメリカの小説家ジョン・グリシャムが初めて書いたノンフィクション作品です。

アメリカの典型的な地方小都市で発生した悲しいレイプ殺人事件は、メジャーリーグのオークランド・アスレチックス~ヤンキースの野球選手として地元のヒーロー(英雄)にもなった主人公「ロン・ウィリアムスン」の加速度がついたように転落していく酒とドラッグに溺れた人生に、暗雲どころかハリケーン並みの破壊をもたらすことになった。

証拠を捏造する警察のずさんな捜査・出世欲強い検察官による傲慢な立件など捜査当局の不正義は、ロンを被害者デビー・カーター殺しの主犯として1987年5月8日に逮捕され、陪審員制度による裁判で1988年に死刑判決を受け、収監された死刑囚刑務所での惨い12年間を経て、1999年4月15日に最新の鑑定方法であるDNA鑑定により無実(冤罪)が証明され、やっと“自由の身”となることが出来たが、2004年12月4日に亡くなったロンの51年の生涯は華やかさと絶望と哀しみに彩られた苦悩の生涯であった。


読後の感想として、日本でもアメリカの陪審員制度と同じようなシステムである裁判員制度による裁判が来年2009年5月から始まるようですが、「捜査当局の思惑やマスコミのミスリードに踊らされることなく冷静に判断できる“司法制度をある程度理解した一般の人”なんているのだろうか?」と少々怖くなりました。


【ゴマ文庫「無実」紹介ページ】
【Wiki-ジョン・グリシャム】
【Amazon-無実(上)】

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