singular points…特異点における日常の風景

 

Tuesday, July 18, 2006

「靖国問題」

高橋哲哉さんという東大教授で哲学者の方が書かれた、ちくま新書(筑摩書房)から2005年4月に出版された本です。
平積みされていた別の新書(何だっけ?)を買おうとして、上から2冊目を取ったら(あぁ何か貧乏くさいけど、癖なんです^_^;)違う本だったけどレジで支払いするまで気が付かなくて、後ろに並んでいるお客さんも多かったので「スミマセン、間違えちゃって(^^ゞ」というのもめんどくさくて、そのまま買ったという消極的購買でした。

僕は「右」とか「左」とかいう意識は乏しく、ここ数年のサッカー日本代表に対する「過剰なナショナリズム的なもの」も微妙な感じがするし、日本という国がトコトン嫌いとか、めちゃくちゃ愛してるとか、特定の宗教にドップリとか、そういう極端なポリシーみたいなものは、勉強不足のせいか持っておりません。
家のお墓は寺(臨済宗、らしい…)にあり、秋には○○八幡宮(神社)秋季祭典で御輿を担ぐし…まぁ、極々普通で典型的な大部分の日本人の宗教に対する感覚くらいしか持っておりません。

で、読了してみた感想ですが、日本国憲法には一応「政教分離の原則」「信教の自由」が謳われていますが、そもそも宗教が政治と結び付かなかった時代は(恐らく)どこの国にもないし、「政治は宗教を統治に利用し、宗教は組織拡大のために政治を利用する」のが当たり前だと思います。
政治とはそもそも「キレイ事」だけではやっていけるものではないし、戦前の国家神道だって(良い悪いではなく)「システム」としてかなり有効に機能した。
でも、国家神道は元来日本人のなかにある感覚「八百万の神(やおろずのかみ)=木々にも草にも石にも水など全ての自然に宿っている」…を戦争(植民地政策)遂行のために、意図的にかなり改悪した印象は否めませんけどね。

本のなかに頻繁に「追悼」と「顕彰」という言葉が出てくるのですが、難しいことは抜きにして(というか訊かれてもわからないけど)僕的には、日本に関わる戦没者だけでなく世界中の全ての戦争・災害・政治的弾圧などによる全ての犠牲者を追悼する「靖国神社に代わるという意味ではない独立国家行政法人運営の追悼施設」を作るのならいいのかなぁ?と。

と、ここまで書きましたが、様々な要素を含む問題ですし、立場・見方により大きく意見は異なるので、今とは違う「信頼できる政府」になった時点で「国民投票」をして、今後の方向性(国民の意思)を決めていくのが良いのかも、とも思いました。

最後に…分析は冷静にされていますし、色々勉強になる本だとは思いますが、世界における(現状の)日本の立場をあまり認識していない理想論が強い面もある本でした。


【7/22(土)補足】
昨日7/21(金)の日経新聞の1面トップ記事にもありましたが、「昭和天皇、A級戦犯靖国合祀に不快感・元宮内庁長官が発言メモ」がこんな時期に出るとは。
明らかに自民党総裁選絡みでもないのでしょうが、確実に影響はありそうです。
やはり、宗教(施設)と政治は切り離せないものなのでしょうか?

宋 文洲(ソフトブレーン会長)さんが書かれているネット・コラム「宋文洲の傍目八目」に『中国人が靖国神社に行きました』という記事がありますので、是非ご覧下さい。
http://business.nikkeibp.co.jp/article/manage/20060704/105680/

想像やイメージだけではなく、詳細に渡るフィールドワークを行い、正確な「実態」を把握した上で、冷静に判断することが重要…靖国問題だけでなく、何でもそうだと思うのですが。

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