singular points…特異点における日常の風景

 

Saturday, May 05, 2007

"夢"のリニア中央エクスプレス(リニア中央新幹線)

JR東海の松本正之社長が2007年3月期連結決算発表記者会見の席上、「(リニア中央新幹線を)25年に首都圏-中京圏で(先行的に)営業運転を開始することを目標としたい」との方針を表明したことにより、"夢の中央リニア"も"ある程度"は建設に向けて動き出すことになりそうです。

「リニア中央新幹線ってそもそも何なの?」という疑問をお持ちの方もいらっしゃると思いますので、"ある程度"わかりやすく解説してみましょう。(←元々複雑でややこしい問題なので、ある程度でご勘弁を^^;)

いわゆる"リニア中央新幹線"とは、1973年の全国新幹線鉄道整備法の基本計画路線に位置付けられている「中央新幹線」を、時速500kmで走行する「超電導リニアモーターカー」によって東京-大阪間を約1時間で結ぼうとするもので、元々は現行新幹線方式での整備計画でしたが、(1973年に基本計画が決定していたにも関わらず、日本経済がオイルショック後の低成長に転じたことなどにより計画がなかなか進捗しないことにもメゲない)エンジニア達の技術魂(国鉄魂?)によるものなのか、官僚達の予算獲得志向によるものなのか、いつの間にやらマグレブ(磁気浮上式鉄道)導入がデフォルトのように扱われるようになり、以前と区別するために「リニア中央新幹線」とか「中央リニア新幹線」、「中央リニア」と呼ばれるようになりました。

そのリニア自体ですが、最近(2005年)やっと「実用化の基盤技術は確立した」といわれるようになったのですが、1977年~1995年までは宮崎県日豊本線沿いに建設された宮崎実験線を使用し、(地元選出の有力政治家、故金丸信の力により山梨に誘致され)1997年~山梨県大月付近に建設された山梨実験線を使用し、日々実用化に向けた走行実験を繰り返しおり、延伸部分を含む山梨実験線はそのまま正式ルートの一部に組み込まれる予定となっています。

では、どの都府県が関わっているかといいますと、リニア中央エクスプレス建設促進期成同盟会という団体に参加しているのは、「東京都、神奈川県、山梨県、長野県、岐阜県、愛知県、三重県、奈良県、大阪府」の9つの沿線地方自治体となります。(予想ルートの概要図
ただし、『建設を開始すべき新幹線鉄道の路線を定める基本計画(昭和48年告示第466号)』には「路線名:中央新幹線、起点:東京都、終点:大阪市、主要な経過地:甲府市附近、名古屋市附近、奈良市附近」としかなく、JR東海とリニア中央エクスプレス建設促進期成同盟会の公式ホームページでも「東京都を起点に、甲府市付近、名古屋市付近、奈良市付近を主な経過地として、大阪市を終点としています」としか表現されておらず、Wiki(中央新幹線ページ)でやっと「始点は東京周辺、終点は大阪市である。経由地は甲府市付近(身延線国母駅)、飯田市付近、名古屋市付近、伊賀市付近、奈良市付近となっている」と表現されているのですが、果たしてどうなることやら( ̄▼ ̄|||)
それに、「だいたい、時速500kmで走る高速列車を東京~名古屋間で4回も停めてどうすのよ!」というご意見もございますが…ま、全ては"政治決着"に委ねられるのでしょうね( ̄▽ ̄;A)
でも、山梨リニアファンクラブのTOPページFLASH画像が"真実"だとしたら…。

次に、具体的(?)なコスト面ですが、国土交通省の中央リニア新幹線基本スキーム検討会議が 2004年4月に公表した「工事前提条件:東京-大阪間、旅客輸送前提条件:2020年開業とした」"試算"によりますと、
・工期は7~10年
・全ルート約500km、そのうちトンネルは約60%、東京圏・名古屋圏・大阪圏の約100km区間は大深度地下を使用
・沿線9都府県(東京、神奈川、山梨、長野、岐阜、愛知、三重、奈良、大阪)にそれぞれ1駅ずつ、計9駅を設置
・建設コストは、約170億~180億円/km
・全体の建設コストは、約7兆7000億~9兆2000億円(!)
・リニア車両1両約8億円
・1時間当たり10往復運転、必要車両約800~900両
・全体の車両コストは、約6000億~7000億円
・経済成長率0~2%と想定
・運賃水準15,000~17,000円と想定(2004年発表時、東京から新大阪間「のぞみ」通常期14,720円)
・リニア新幹線の需要見込み:254億~345億人キロ
・東海道新幹線の需要見込み:203億~238億人キロ(2000年実績:397億人キロ)
・リニア+東海道新幹線の見込み:457億~583億人キロ
・全体需要は、2000年との比較で1.24~1.44倍(!)

因みに、山梨実験線の残り区間については、2006年4月にJR東海が約3,000億円を負担して整備すると発表しています。(というか、国鉄時代の研究段階から累計すると今まで一体どの程度の予算を"消化"してきているのでしょうか?)
つまり、約10兆円(!)のコストが"軽く"掛かる、まさに"国家的なプロジェクト"でもあり、民間企業となったJR東海が主体となる一大事業であるわけですが、リニア中央エクスプレス建設促進期成同盟会の試算では経済効果は"最大"21兆円になるとされています。
ま、電力コストなどはどーなっているの?とか、元々採算度外視のプロジェクトなの?とか、どうせ巨額な地元負担金が発生するんじゃないの?とか、需要見込みが甘過ぎるんじゃないの?とかなんてことは、浅学な僕にはよく理解出来そうもありませんが…うーむ、やはり「夢の中央リニア」、"タダモン"じゃないっす(-ω-;)

<参考URL>
【リニア中央新幹線ホームページ(リニア中央エクスプレス建設促進期成同盟会)】
【JR東海(東海旅客鉄道株式会社)公式サイト】
【プロジェクト中央新幹線-JR東海】
【JR東海リニアエクスプレス(山梨リニア実験線)公式サイト】
【財団法人鉄道総合技術研究所(JR総研)公式サイト】
【JR総研-浮上式鉄道技術研究部】
【山梨県立リニア見学センター(山梨リニアファンクラブ)】
【Wiki-中央新幹線】
【Wiki-リニアモーターカー】
【Wiki-ジェイアール式マグレブ】
【Wiki-建設を開始すべき新幹線鉄道の路線を定める基本計画】
【25年にリニア営業開始目標 首都圏-中京圏で先行的に-共同通信】
【リニア営業運転、2025年の開始目標-山梨日日新聞WEB版】
【リニア新幹線2025開業目標-南信州サイバーニュース】
【名古屋リニヤだがや-鉄路的部落】 by走ルンです様
【リニアフリーライダーの醒めない夢-鉄路的部落】 by走ルンです様

<番外URL>
【鉄カフェ公式サイト(大阪市天王寺区、大阪環状線寺田町駅より徒歩5分)】
【鉄カフェマネージャーりえ☆の業務日報】
※系列の「鉄道バー」が、北新地に2007年6月5日グランドオープン決定!

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