【雇用情勢研究(序説)】
1.為替レートの急激な変化:1ドルが220~250円(プラザ合意前)→120円(1988年前後)→79円(1995年)と極端な円高が進んだ。
円高になったことにより製造業などの輸出産業は、生産コスト(主に人件費)低減のために生産拠点を海外移転し、いわゆる国内産業の空洞化が起こり、大手メーカーを中心に国内ブルーカラー(主に製造業の高卒ワーカー)の雇用が激減し、残っている国内製造業は非正規社員を増加させることにより景気による調整弁及びコストダウンを図った。
※海外生産に切り替えれば円高に比例して円建て換算の人件費は減ることになる。
※現在、海外に生産拠点を持つ多くの日本企業が中国から東南アジアの他の国に生産拠点を分散させる方針を取りつつあることの原因は、円に対する元(中国の通貨)高が確実に進むことによる為替レート上の目減りと、中国人労働者の人件費急上昇による生産コストアップがある。
2.高卒ブルーカラーの受け皿となる仕事が急激な勢いで極端に減少した。
産業の空洞化が起こった1990年代までは、大学進学率の上昇、建設業に対する公共事業(道路、橋、建物など社会資本整備への公共投資)の発注、円高による購買力上昇に合わせた内需拡大つまり飲食・販売・サービスといった第三次産業従事者比率のアップで何とかしのげたが、人口減少が現実となった現在では第三次産業に雇用の調整弁の多くを期待することは難しく、深刻な財政赤字に苦しむ国からの公共投資による景気対策はもはや不可能で、公共事業削減による建設業の衰退は確実であり、対人折衝力を必要としない仕事(製造業、建設業、農林水産業、自営業、高いスキルを必要としない事務職正社員)は益々減少し、残っているのは営業や企画や財務などのホワイトカラーか販売・サービス(教育医療福祉従事者を含む)といった対人業務と、エンジニアのみという、非常に厳しい職業選択状況となってしまう。
※「対人折衝社会がフリーター、ニート、引きこもりを増やした?」…正社員の仕事にしても、アルバイトの仕事にしても、大規模な集団の中での対人折衝力を要求される仕事ばかりとなり、性格的にそういった仕事向きでない人も対人折衝業務に就く以外の選択肢が極端に減ってしまった。元々「人と接せず、のんびり仕事をしたい」タイプだった人間に、多人数とのコミュニケーション、業務のスピードアップ及び改善を日々強く求めていけば、どのような結果になるか…。
3.政府がいうとおりに医療福祉産業の拡大が雇用確保・安定の女神となり、更に景気浮揚の救世主となりうるのか?
医療・福祉産業を拡大し就業人口を増やすことにより、給与所得者が増え、それが内需を拡大し景気を押し上げ、納税額も増えるというWin&Winの素晴らしい政策だ、との見解もあるが、その周辺に位置する輸出型産業にもなりうる医薬品メーカー・医療機器メーカー以外は、所詮は付加価値を生む産業ではなく国際的な競争力も無く、社会保障費つまり税金を投入し、各種補助金(これも元は税金)も注ぎ込んでいる「国が保護している産業(※農業も同様)」であり、増税などによる財源の根拠・確保が無いままでの急激な拡大は社会保障費負担の極端な増加を生み、既に破綻状態ともいえる国家財政に更に強烈なダメージを与えてしまう。
※医療福祉従事者は単なる資格職ではなく、「人間性という名の資格」が必要であり、ある意味での人に対する「奉仕の心」を持たない人に務まる職種・業務ではない。特に介護職に関しては、講習と研修と試験を受ければ誰にでもなれると思っている人も多いが、人は20歳を過ぎてからさほど変われない。医療福祉に適した人材をより多く生み出す社会にしよう思うのであれば、育成・教育は小学生の段階から進めなければより良い人材が誕生するはずがない。
4.ネット社会の進展は雇用にどのように影響するのだろうか?
消費者(企業を含む最終ユーザー)の直接購入により、商社・卸・代理店など中間業者の「中抜き」が当たり前となる。中間業者は顧客とのコミュニケーションを図り受注に結び付けるために、折衝能力を有する職種(営業など)の正社員を多く抱えているが、今後は「ネットを介しての冷静な取引」が中心となるため不要になり、最終的には中間業者自体が不要となり、大規模な広範囲に渡る企業の倒産及び大量の失業者が発生するが、エンジニア自体の就業者数はさほど増えない。
※このエントリーは、最近の新聞・雑誌・書籍から得た知識・情報を単純に私の脳内で整理したものであり、個人的に研究したいという意志に基づく「日記的な推論」であり、特定の産業・職種等を誹謗中傷する意図は全くありません。
1 Comments:
buy ambien can i buy zolpidem - ambien nightmares
By Anonymous, at 9/15/2012 03:54:00 am
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